おぼんろ『狼少年ニ星屑ヲ』

劇団 おぼんろ『狼少年ニ星屑ヲ』 劇場に一歩足を踏み入れたらそこは森だった。照明によって奥行きが自由自在に変化して、わずか4人の役者達があっちこっちと動き回る。この森、どんだけ広いん?と思わせる、想像させる演出。そう。おぼんろは観る者の第六感をフルに活用させて、観る者ひとりひとりの想像の中で物語を繰り広げてしまう。そうだ! 小説をひとりで読んでいる時のあの感覚だ! ベットサイドの灯りだけで本を読みながら頭ん中が想像でいっぱいになって物語の中にぐぐぐいと入り込んだあの感じ。目を閉じれば高度な音響システムなどないはずのその場所に、役者の声があっちそっちと聞こえてくる。役者が近くを通れば汗と衣装に付いた埃のニオイ。そして目を開けると、所狭しと動き回るその汗で彼等の化粧が乱れていくリアル。末原拓馬と初めて出会った時、彼の後ろに絵本が見えた。まだ彼が劇団おぼんろを率いるその人だと知らなかった頃。合点がいった。ギョロリとした目でチリチリと物語を撒き散らしながら屈託なく笑う彼の頭の中が、きっと多くの人にも存在する不思議。素晴らしいアイデアに溢れた美術と衣装、照明の中に存在する4人の役者。言葉はリズムだと前に誰かが言っていた。難しい意味はわからない。ただ役者達の発する言葉のリズムが、想像を運んで来てくれる。意味を理解したいんじゃない。そしてそれぞれの想像の中で物語の結末を見届けた私たちは、子供の頃に感じたあの、陽がゆっくり落ちていく夕暮れのような切ない気持ちを確かに共有したのだった。あらイヤだ。完全なる◯◯感想文。笑小学校の時、意外とイイ子ちゃんだったあたしがバレちゃうじゃない。笑 原稿用紙は人の倍、貰っていました!ちなみに『狼少年ニ星屑ヲ』 は5年前の作品だそうです。わぉ!年末には新作が上演されるって。わぉ!

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當間里美 jazz dancer / tap dancer / choreographer

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