人もまだらな電車内。私の斜め前に座ったバンドマン。しばらくするとなにやら、カチャ・・コッ・・・・カチャ・・コッ・・カチャ・・・・コッ。ん?目線をあげると、そのバンドマンがポカーンと口を開けながらZIPPOのフタを片手で開けちゃぁ閉め、開けちゃぁ閉めしてる。カチャ・コッ・カチャ・・・コッ・・カチャ・・・・コッ・・・・ボトッ・・・・(ZIPPOを何回か落とす)カチャ・・・コッ・・カチャ・・・・コッ・・・・・カチャ・コッ・・・・ボトッぬあっっっ!!!!気になるっっっなんて耳障りなんだっ隣のおっちゃんは気にならないのか???気になる気になる気になるぅぅぅぅぅーーーーッと、私の耳栓のフタが限界を迎えそうになったそのとき、プシューっと電車の扉が開き、降車駅に着いた事を知らせてくれた。ホームに出ると夜も更けた静寂が私の耳を包み込み、安堵の溜め息をついたことは言うまでもない。そして私はベンツくんに乗りながら考えた。『音』であることと、『雑音』になってしまう境目は何だ?『カチャ、コッ』は紛れも無くZIPPOの『音』。大人の雰囲気漂うZIPPOの『音』。ではそのイカした音を『雑』にしてしまったのは何だ??誰だ???ポカーンと口を開けたバンドマン。お前か・・・・。人もまだらな静まり返った電車内。そこへ聞こえる不規則に連続する一定音。目的を失った可愛そうなZIPPO。そんなことに気付く様子はみじんも無くポカンと口を開けて無意識に手が動いてしまっているバンドマン。シチュエーションが分かっていないバンドマン。ZIPPOから出ているその音が、今どうやって人に伝わっているか自分じゃ聞こえてないバンドマン。自分で聞けない、感じれない音がどうして他人に伝わろうか?ZIPPOのナイスな音を見事『雑音』に変えてしまったバンドマンよ。残念ながら君に明日はない。君が音楽をやめた時、電車の走るその音が眠りを誘う心地よい『音』だということに気付くだろうよ。Good Luck・・・・。
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