25年前に生まれた原作から時を経て2013~2017年、五年間に渡り駆け抜けた『ミュージカル美少女戦士セーラームーン』。最終章が無事に幕を降ろしました。最後の力を振り絞って迎えた最終章大千秋楽。ダメ出し帳を楽屋に置いて、初めて何も持たず客席で観たそれはあまりにドラマティックでキラキラしていて、表情など見えるはずのない客席後方までビシバシ伝わる役者のエネルギーと、それを全身で受け取る観客のエネルギーが大きな渦となって会場中を包んでいた。最後の最後、緞帳が降りるその瞬間をそこにいる全員が惜しみながら、気が付いたら手の平が痛くなるまで拍手していた。そして、キャストを見守る舞台袖中と、客席最後方で観ていた私の後ろには、この舞台を共にクリエイトした最強のスタッフ、舞台、照明、音響、映像チームの面々。この閉ざされた夢の中でキャストと共に舞台を創り、演じ、見守り、支え続けてくれた最高最強スタッフ。そして更に後方、扉の外では今日まで如何なる時も私達の為に駆けずり回ってくれた制作チームが今も尚、外堀を守ってくれている。
セーラームーン。あなたが舞台で放っていた七色の光は、戦士達、会場に足を運んで下さったお客様、我々スタッフ、此処にいる全員の光だったんだね。それに気付いた時、なんだかフワッと自分の足元が軽くなった気がした。本当に足元から風が吹いて、その風に髪がなびいて、そしていつもあなたはあの時と変わらず、こう言って私達を守ってくれるんだ。『月にかわって おしおきよ! 』きっと我々はみんな、セーラームーンだ。戦士ひとりひとり、そしてギャラクシアもカオスもみんな、自分の中にいる。守り、守られ、否定し、肯定し、どんなにどんなに辛くても、我々は共存という選択をして来た。ひとりでは生きられない。決して。このことを具現化したかのような、我々セーラームーンカンパニー。毎朝の「おはようございます」から「お疲れ様でした」まで、笑顔が絶えなかったことはないし、互いの足りない所を補い合うかのように毎日が戦いだった。まるでひとりひとりがその使命を全うするかのように、最後の最後まで戦った。自分自身の様々な決断が正しかったかどうかは、今はまだ良く分からない。誠実に、常に今が最良であることを信じるしかないから。そして全てが終わってしまえば、清い涙と共に全てが流れ落ちてまた次へのスタートを切るわけだけど、けれどその中でも研磨されて残った強い思いこそ、きっとこれからの私の大きな機動力となることは間違いない。
そして、稽古場からもっとも長い時間を共に過ごしたキャストのみんな。4年間、3年間、2年間、そして今年。過ごした時間の長さではない。交わした言葉の数ではない。同じベクトル、目指す場所、伝えたい思い、使命。妥協は出来ない。年齢やキャリアなど、私にとっては何も重要ではない。彼女達の目の奥から伝わる、底知れぬエネルギーだけを信じた。創ること、演じること、踊ること、歌うこと。なにひとつ違うことはない。全てはイコール。躊躇している暇はない。彼女達なら、必ず応えてくれると信じていたから。一分一秒違っていたら、今日という日はない。彼女達ひとりひとりと過ごした一分一秒違っていたら、この舞台はない。私にとって創ることは、言葉じゃない会話だ。予め用意された在り来たりの言葉なんかじゃなく、その瞬間生まれた、あなたとの会話。あなたとだから出来る会話。そうして紡いだ線一本一本が、最強のステージを創る。そう信じているから。演じるという重圧、そして舞台という孤独を乗り越えた彼女達はまさしく戦士。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ほんとうに、ありがとう。最後までみんなと本気で戦えたことを、心から誇りに思う。明日また直ぐにでも会って、再び戦い合えたらどんなに嬉しいか…(みんなはもう勘弁してほしいと言うだろうナ 笑)、そんな妄想を抱きつつ、私もまた次の戦いの場所へ向かいます。そして再びみんなと出会った時、今よりももっとたくさんの会話が出来るように、私も精進します。このミュージカルを通し出会った全ての戦士達に感謝と敬意を。そしてまた直ぐに!4年に渡りこのカンパニーの一員でいれたこと、感謝しきれません。わたしを導き受け入れて下さった全ての皆さま、本当にありがとうございました。これからも、30世紀よりももっと先まで、続く長いトンネルをまた少しづつ掘り進んで参ります。
本当に、ありがとうございました!!
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