はて。大野幸人と初めて会ったのはいつだったかな。その時、そういえば彼は何歳だったんだろ。喋りもせず、笑いもせず、怒りもせず、表情ひとつ変えず長い足を床に滑らせ、気付いたら軽やかに飛んでる。すげーな。すげーな。あんなに飛べたら気持ちいいだろーな。あ。いま思い出した。確か、辻本知彦の作品に出た時だ。あの時、作品の冒頭で幸人の頭をモシャモシャにしてやった。ひたすらずーっとモシャモシャモシャモシャしてやった。そして中盤で抱えられた私は、まんまと床にドスンと落とされるんだ。笑 懐かしいな。思えばあの時から幸人の印象は変わらないなァ。久々に会った時の、「あ、さとみさ~ん」この声の周波数はずっと変わらない。最小限の会話。最小限のコンタクト。でも踊った時の強烈な主張。そしてまた喋らない。そして今日、楽屋を訪ね久々幸人に会って、一番最初に私の目に飛び込んで来たのは、幸人のまつげ。「あゝ幸人、立派なまつげだねぇ。。」『Angel』そんな幸人のsolo act。ほんとうに素晴らしかったです。なんて自然なんだ。幸人じゃないか。幸人だった。台詞も歌も、そして踊るのも、大野幸人。あの時の大野幸人のまま。でもたった一足足を踏み出しただけで、そこに手を掛けて転がる所作ひとつで、怒りを表す身体の温度ひとつで分かっちゃうの。だから、踊りか?踊りじゃないのか?そんなことは問題じゃぁありません。大野幸人の身体を贅沢に使った演出と、彼自身の長いまつげの先に見ている景色が調和して、お陰で一人しか存在しないはずの空間は、観るべき物語でいっぱいだった。ラストの居住まいはきっと、彼にしか出来ないだろうな。。ダンサーかダンサーじゃないのか。役者なのか歌手なのか、なんなのかかんなのか、そもそもそんなことを問うなんてナンセンス。自由とは、表現とは、「なんでもあり」ではない。だから、敢えて言います。ナンセンス。当たり前のこと言いました。すいません。今日は、『Angel』を観れて嬉しかったです。幸人ゆえに、幸人。良質。説得力。納得。
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