蘇る悪夢

取れた・・・つめてたものが、取れた・・・・チョコレートを食べたら・・・・そして私は向かう。あの嫌な音のする場所へ。横になり、ピンとのびた足の指。タオルを握りしめる手。ただまぶしい光を見つめるしか出来ない無抵抗な私。そして耳のすぐ横で聞こえるあの嫌な音。一点を見つめながら、この時ばかりは自分の想像力たるものを呪うばかり・・・。そして、それは突然聞こえてきた。『ふ~ん、ほいで~アナタは當間さんちの三番目のお嬢さんよね?ダンスをやってる?ん?』『あ~私の知り合いにね、そうそう、タップを教えてる人がいてねぇ、なにやら大橋巨泉の娘に教えてるとか教えてないとか。う~ん、名前なんてったかなぁ~う~ん、う~ん』え・・・?せ、せんせい・・・?確かに私は當間家の三女。ダンスをやっています。当たりです。しかもタップはどんぴしゃり今まさにハマってるところです。あ、大橋巨泉に興味はないですけど。でも先生?その問い対して、今の私は一体どうやって相づちを打ったら良いですか???まさに開いた口がふさがらない・・・いいえ、始めから開いている口をふさぐことはもはや不可能だったわけで・・・。それでも私は喉の奥でフガフガ言ったか言わないか、唇の端がほんの数ミリ動いたか動かなかったか、眉毛が…目尻が…鼻の穴が…なんとか答えようとした努力も虚しく、すべてはあの嫌な音に消されて行ったとさ。拝啓。今度、立派に成長した親知らず2本目を抜いて来ます。口腔外科行きです。ちょっとした手術です。歯歯歯。歯歯歯。歯歯歯歯歯。

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當間里美 jazz dancer / tap dancer / choreographer

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